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フェミニズム騒動に見えるリベラルの排他的寛容というパラドックス

昨今のフェミニズムにまつわる騒動を俯瞰すると、道徳に主観を持ち込んでいいのか、悪いのかという話に行きつくと思う。なぜなら、けんかしているのがリベラリズムとフェミニズムに見えるからだ。

一般的なフェミニズムはリベラリズムを軸にしているが、ライトなフェミニスト層は感覚的な嫌悪感をすごく重視する。そして、硬派なフェミニストよりもリベラリズムを理解しないライトなフェミニスト層の方が圧倒的に多い。

カントやベンサムの時代の啓蒙思想を根っこに持つリベラリズムは、文化や時代に影響されない普遍的な道徳が存在すると考えている。人間の理性に重きを置き、皮肉な言い方をすれば時に神聖視さえする。「国境のない世界を想像してごらん」というジョン・レノンの歌詞にユートピアを見る。

一方の保守主義は社会関係資本、道徳資本を重視し、それが秩序の安定に資すると考える場合には道徳に非科学的な価値観を持ち込むことを厭わない。科学的裏付けのない生理的嫌悪や神聖さに価値を認める。要するにコミュニティの絆や一体感を重視する。

リベラリズムは封建的秩序を権力や特権階級による搾取と位置付けるが、保守主義は例えばドナルド・トランプを親父のような感覚で慕う。国境のない世界はコミュニティの絆が消滅したディストピアだと彼らは考える。一点、勘違いされやすいのだが、保守は非科学的な価値観を認めるがその判断は理性の行使に基づいていると言う点でリベラリズムと土俵を同じくしている。

つまり、文化や時代によって道徳が変化するよ、という点にフェミニズムのライトな層と保守はyesだけどリベラリズムとリバタリアニズムは絶対no。富も平等に分けるよという点でリベラリズムはyesだけどリバタリアニズムと保守は絶対no。

フェミニズムのライトな層は社会の秩序を考えるし道徳に主観を持ち込むから、根っこは保守なのに女性同権という一点だけでリベラリズムに乗っかっている。リバタリアニズムは根っこはリベラリズムなのに富も平等に分けるよというリベラリズムの考えが腹に据えかねるので保守に乗っかっている――という複雑さがある。

ユダヤ教とそこから派生するキリスト教、イスラム教は神を普遍的な一柱に限定したことで、排他的にならざるを得なくなった。リベラリズムは道徳を普遍的なものとしたことで、道徳に主観を持ち込むすべての文化に対して排他的に成らざるを得なくなった。

都合よくリベラルに乗っかっているフェミニストの多くがリベラリズムを理解していないのと同様に、リベラルのライトな層は「理性の行使に基づいた幸福の追求」と「科学的裏付けに基づいた幸福の追求」を混同している。

おそらくだが高等教育を受けた40代以上は普遍的な道徳の存在を信じている人が多い。でも若い思想家たちは、結局保守主義とリベラルで綱引きして道徳を確定していくしかないと考えているように思う。例えばカントの流れを汲む哲学者、マルクス・ガブリエルは科学主義に否定的だ。ユヴァル・ノア・ハラリは人権をフィクションだと断言する。

心の声に耳を傾けたところで論理的で合理的で普遍的な道徳など存在しないのだ。なぜならば、科学的な視点から言えば「人類は、目的も持たずにやみくもに展開する進化の過程の所産だ(harari)」。心の声から聞こえてくるのは、天然痘の痕に嫌悪感を抱いたり、よそ者を警戒したり、人の死んだ家に住みたくなかったり、曇りガラスを引っかく音が嫌だったりという非合理的で、非論理的な感覚的な嫌悪感ばかりだ。

ベーシックインカムか、それとも負の所得税か

Basic_Income_Performance_in_Bern,_Oct_2013


ここ数年でベーシックインカムの話題をよく耳にするようになった。興味を持ったので調べてみた。そこで気が付いたのだが、どうやらベーシックインカム(BI)が是か非かという話では済まないらしい。ベーシックインカムに懐疑的な識者でさえ現行の社会保障制度を変える必要があると考えている点に注目するべきだ。現行の社会保障システムは機能不全に陥っており、若い世代はベーシックインカムか、そうでないなら別のシステムを選ばなければならない、というわけだ。

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大西泰斗先生の文法解説を整理




英語の文は5つの文型、すなわち基本5文型に大別できると習った。しかし最近はこの学習法はあまり推奨されていないらしい。今年度から始まったNHKのラジオ英会話でも大西泰斗先生はSVOだとかSVOCだとかいう言葉はほとんど使わずに文法の説明をしていた。私は旅に出て英語に興味を持った口なのでほとんど文法が分からぬ。せっかくなのでこの機に大西先生の文法解説を整理してみようと思う。

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最近の国際情勢を整理してみよう


北朝鮮の核問題


6月の頭、米朝会談の直前ではみんなトランプ大統領に期待を寄せていた。国際社会全体で見れば批判的な評価の方が多く聞かれるトランプだが、日本の視点からすると拉致問題の解決に道筋をつけてくれるのではないかという期待があった。当のアメリカが問題だとしたのは北朝鮮の核だ。

2017年にはそこら中にミサイルを飛ばし、飼い主と思われていた中国に噛みつくほどに粋がっていた北朝鮮だが、米朝会談が近づくと北朝鮮は中国に接近した。北朝鮮は単独でアメリカと渡り合うことはできないのでしっかりと犬小屋に帰ってきた形だ。

北が中国の手を離れれば中国は北朝鮮に制裁をかけるが、中国のコントロール下に収まればその限りではない。経済制裁に穴が有れば北朝鮮は米朝合意の早期履行にこだわる理由はない。すると北朝鮮の核問題はいつの間にかひとつのイベントではなく、米中対立の1つのエピソードに過ぎなくなってしまった。7月になると既に拉致問題は話題に登らない。アメリカは北朝鮮の核を容認したも同然という雰囲気だ。そして米中の貿易戦争が激化する。

イランの核合意


欧米とイランとの間で核合意が為されたのは2015年だ。ウラン濃縮に大幅な制限課す代わりに経済制裁を解除するという内容だ。核合意を推し進めたのはロウハニ大統領だが、その前の大統領がアフマディネジャド。アフマディネジャド大統領はアメリカとの対決姿勢を強め、核保有への野心が疑われ、2006年のブッシュ政権時代に経済制裁を受ける。経済が立ち行かなくなるとロウハニ大統領政権下で軟化し核合意に至った。

核合意は期限があるので、イランの核保有を永久に抑え込むものではないとトランプは主張する。一方EUは核合意を続けたいと思っている。すくなくとも合意の期間中はイランは核を持てないはずである。

5月28日にトランプ大統領は合意の破棄と対イラン経済制裁の再開を表明した。さらに米政権は6月、日本やEU、中国などに対し11月4日までにイラン産原油輸入量をゼロにするよう要求する。加えてイランと取引をした企業はアメリカと取引ができないという二次制裁も発動した。銀行しかりである。銀行がアメリカと取引できなくなるとは特に致命的と言える。

EUはそもそもイランから原油を買っていない。アメリカの要求が悩ましいのはインドや日本である。両国はアメリカの機嫌を損ねたくはない。中露はイランを応援したい立場だが、ロシアは産油国である。イランにとってアメリカ以外がみんな核合意の味方のように見えるが、結局頼れるのは中国だけという様相。しかしイランもあまり中国に依存することは好まない。

とはいえ、ブッシュ政権からオバマ政権時代に行われた経済制裁は国連決議だ。今回の制裁はトランプのわがままに過ぎないので日本がイランの側に着いたとしても筋は通る。これまでもイランと日本はそれなりに良い関係を持っている。

トルコ大統領選挙


6月24日のトルコ大統領選挙でエルドアン大統領が再選。憲法改正によりこの任期からは大統領の権限が強化されている。すなわち独裁色が強くなっている。

エルドアンは2003年から選挙で負け知らず。トルコの田中角栄などと喩えられる。どぶ板政治で貧困層にまでインフラを広げた。しかし好調だった経済に陰りが見えてくる。加えてシリア内戦へ介入で歳出が膨らみ、エルドアンの求心力が落ちたと言われる。

反エルドアン勢力はトルコのイスラム化を懸念している。とはいえ、エルドアン以前のケマル主義は世俗原理主義だともいわれ、逆にスカーフを巻くことを禁止するほどだった。ある意味ではある程度のイスラム化は正常化ともとれる。

トルコはかつてEUへの加盟を目指し、世俗主義を徹底し、インフラもEUのレギュレーションに合わせたという過去がある。EUに邪険にされると孤立し、NATOの一員でありながらロシア、イランと接近した。孤立すると独裁色が強くなるという例は古今東西枚挙にいとまがない。現代でいうとロシアが好例かもしれない。

アメリカとの関係悪化は主にクルド問題。自国にクルド独立問題を抱えるトルコとしてはクルドに肩入れするアメリカが気に入らない。逆にいうと、シリアをロシアが主導して、アメリカがクルドを見捨てると、トルコ・アメリカ間に問題はなくなる。トランプはシリアに執着はなさそうに思える。しかしアメリカの世論、特に軍人の間にはクルドを戦友と思う気持ちも残っている。

プロフィール

じょなさん

Author:じょなさん
元バックパッカーの引きこもり、世界に飛び出す引きこもり。当初は役立つ情報を、と思っていたんだけど自分の興味しか書けないね。

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