にわかに議論が盛り上がってきた水道事業の民営化、各国の状況について調べてみた




世界的に見れば水道事業の民営化は珍しくなく、古今東西様々なデータと議論が存在する。ヨーロッパの多くの国では水道は民間事業から始まっている。後発工業国の日本では水道は初めから公共事業だったので今まで気にしてなかったのだなという印象を受けた。

しかし民営化するべきか、公共事業とするべきかは議論が分かれている。民営化によって投資が活性化され、水道網が広がるという意見もあり、マニラ(フィリピン)、グアヤキル(エクアドル)、ブカレスト(ルーマニア)、コロンビア、モロッコ、コートジボワール、セネガルなどでは実際に成功している。

一方水道事業の民営化は水道料金の値上げにつながり、公共の利益よりも運営主体の利益が優先されるようになるという指摘もある。水資源を私企業にゆだねるのは人間の持つ水に対する権利を侵害するものだという主張も存在する。コチャバンバ(ボリビア)、ダルエスサラーム(タンザニア)、ジャカルタ、ベルリンの民営化が失敗例として挙げられる。

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グローバリズムの矛盾と保護主義のすすめ




グローバリズムを推し進めるとどの国も貿易黒字を求めるようになるところに問題がある気がする。結果的にどこかが借金をしながら需要を支えないと矛盾する。リーマンショック以前はアメリカが、それ以降は中国がその役割を担ったけど、このモデルが持続不可能だとするとやっぱり保護主義を取り入れて内需主導型の経済を確立する以外に打つ手がない。

東京に暮らす人や東京に本社を置く企業の払う税金は地方の公益のために使われているけど、東京の人はそのことについてほとんど文句を言わない。グローバリズムって言うのは、「同じ日本なんだしみんなで東北を助けよう」っていうような気持ちを地球規模で共有できるような状態じゃないと成立しない。EUでいうと、ドイツ人は血税を使ってスペインやギリシャを快く支援しなければならない。結局現在のグローバリズムは工業国の労働者と新興国の労働者を競争させているだけに過ぎない。新興国の生活の質は上がらないし工業国の内需は縮み、格差だけが広がる。

ガンジーの説いた欺瞞の無い平和主義のすすめ




「欺瞞の無い平和主義」とタイトルを付けた以上、どこかに欺瞞に満ちた平和主義があるということになる。

非武装国が侵略されないという保証はどこにあるのか

非武装主義の抱えるジレンマは全てここに集約される。多くの場合、平和主義や反核運動はこの問題をはぐらかす。例えば第一次大戦後、ヨーロッパ諸国はナチスの台頭に寛容だった。厭戦ムードという名の平和主義政策、ナチスに対する太陽政策をとったのだが、歴史は考え得る最悪の帰結を迎えている。非武装主義者は当時の状況下でいかに非武装が正当化されるかを説明する義務がある。

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SF世界の中華料理店にみる資本主義の限界

バトーさん攻殻機動隊 #14 全自動資本主義より

この街を、一匹の亡霊が徘徊している。――資本主義という名の亡霊が。


一昔前のSFでは、未来に生きる人々の生活水準はみんな一様に向上している。しかし最近のSFは現実的で、どんなにテクノロジーが進化していても人々は汚い食堂でラーメンを食べている。

科学技術が進歩すれば、人の仕事は何でもロボット、コンピューターに置き換えられて市民は賃労働から解放される。つまり、働かずして娯楽に興じることが出来るはずだった。これが理想としていた未来だが、そんな夢のような暮らしを経験した人々は後にも先にもローマ人だけだった。

実際には、せいぜいラーメンという娯楽が保証されれば、それ以上賃金は上がらなくなる。この問題にいち早く気がついたのはマルクスだ。資本主義は物を効率的に生産するが、物が余りだしたときに生み出した富を効率的に分配することが出来ない。

資本主義において、市場が飽和するまでは雇用はどんどん生まれて、旺盛な消費が経済を支える。しかし一度市場が飽和すると、企業は常に労働者をロボット、コンピューターに置き換えようとする。市民が賃労働から解放された結果は、消費の伸び悩みだ。

これがデフレの正体であり、この亡霊を打破するためには三つの道しかない。

1) 新しい市場を作る。
2) 大きな政府でもって分配する。
3) 原油価格が高騰し、安い仕事がすぐに見つかるようになる。

1)は規制緩和だとか金融商品、CO2排出権取引。あとはK-popやアニメなどサブカルチャーにおける商業色が濃くなる。これは既に行われていて、なお最終的な解決策にはならない。3)は科学技術は人を幸せにしないという、人類の歴史の否定。

2)がなぜ難しいかというと、自由主義思想の否定になるからだろう。言ってることは簡単で、「誰が被災するかなんて分からない。だから誰かが被災したときは助けてやり、自分が被災したときは手を差し伸べてもらおう」という合意。四十年前にロールズが提案した「無知のヴェール」の考え方。あとは手を差し伸べる範囲をどこまで広げるかという問題だ。

1、2、3のどれも結局はどれも今までの資本主義を否定することになる。社会主義、資本主義の両極端が否定され、残るは弁証法的な合意形成という中庸の道。

マネーサプライと量的緩和

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日はマネーサプライをテーマに選んだ。本当は2ちゃんねるの経済板に書き込もうとして長文を作ったが規制中で書き込めなかった。悔しいので肉付けして記事にしてやろうと思う。ちなみに2ちゃんねるの経済板は最低なところで、書き込みの8割は政治学と社会学とオカルトに終始する。民主党、団塊、ロスチャイルド、マスコミどうのなんて書きこみは読み飛ばすに限る。所詮素人の集まり――どの口が言うか。

ネーサプライの話の末に何が出てくるかというと、リフレ政策が見えてくる。リフレ派の主張は要は金融緩和だ。マネーサプライの増加によってデフレからの脱却を図る政策。インフレターゲットの導入を求めるグループもリフレ派と言える。

銀の金融政策によりマネーサプライが増えると、つまり世の中に流通しているお金の量が増えると物価や賃金が上がる。つまりデフレが止まる。実に簡単なからくり。

ゃあその簡単なからくりをなぜ使わないのかというと、マネーサプライを増加させることが簡単な事ではないから。マネーサプライは金融機関の当座預金を含めないため、日銀は直接マネーサプライを増やす手段を持っていない。金融緩和を叫んでいる人々にもこのことを理解している人は少ないように見受けられる。(人々っても飽くまで2ちゃんねる経済板レベルの話だが)

マネーサプライは
総所得の関数である投機的動機に拠る貨幣需要(L1)と
総所得の関数である取引的動機に拠る貨幣需要(L2)の和


M = L1(Y) + L2(Y)


Yは総所得。インフレになれば増加するが、Mが増えなければインフレにはならないという循環論法。
L2は簡単に言えば生活費。人々の生活水準によって変化する。
L1は金融市場の利子率によって変化。日銀が刺激できるのはこの部分。

を出されると嫌がる人もいるだろうが、式にすると明快だ。マネーサプライは需要と需要の和であって、いくら供給(印刷)してもマネーサプライは増えないことになる。

こで日銀がもつ手段は主に「政策金利」と「公開市場操作」。まずは政策金利。政策金利を下げ、市中銀行の金利が下がれば、金利と利子率の需要と供給が均衡をとるので金融市場にお金が回りL1(貨幣需要)が増加する。換言すれば、銀行に預けるよりも有価証券を保有した方が利益になる状態をつくる。ただし名目金利はマイナスにはならないので低金利政策には限界がある。するとゼロ金利政策下でも実質金利が高止まりするという状況があり得る(流動性の罠)。この場合は、日本はずっとこの状態なのだが、他の手段をとる他にない。

開市場操作では、日銀が金融市場で証券を買い上げる。銀行等金融機関の保有している証券、つまり国債や債権が現金に換わる。証券を持っていると利子がつくが現金には利子がつかない。現金を保有している金融機関は投資先を探し、借り手はお金が借り易くなる。

こで注意が必要なのは需要を出したのは日銀だけで、金融機関が投資先を探すのは供給だ。この段階でマネーサプライを刺激したのは日銀だけ。市中の需要ではないので飽くまで一時的。しかし、この一時的な効果が貨幣需要を刺激し事態が好転すると主張しているのがリフレ派。お金を借りやすくなれば借りる人が出てくる、つまり需要になるし、それがきっかけで経済が回りだす――という理屈。議論がある(不況定常)。

のリフレ政策にはアメリカが積極的で、これまでに150兆円(1.75兆ドル)、この先6ヶ月で70兆円(8500~9000億ドル)規模の量的緩和を行うが、今のところ国内のL1(貨幣需要)はほとんど増加せずに、もてあました資金は新興国へと向かっている。

幣需要は期待ほど刺激されていない、つまり国内にはお金を借りたいというひとが現れないが、ご存知のようにドル安が進みアメリカでの金融緩和は一応の好感をもって受け入れられている。反面ではアメリカと第三世界との経済格差がものすごい勢いで縮まっている。アメリカが稼いでも居ないのに使ったお金は400兆円に上ると言われている。400兆円の幻の楼閣が雲散霧消するならばアラビアンナイトのようで素敵じゃないか。

方で日本は金融緩和に消極的だ。ここに来て日銀の政策が緩和に向かいつつあるのは円高を嫌っているだけで、基本的に「注視する」というのが日本の姿勢だ。度胸がないのか放任が最善という確固たる自信があるのかは謎だが、日本では楼閣を幻と消してしまわぬために円高、デフレと慢性的に戦っていく道を選んだ。

本式の20年後というのはここに答えが出ている。150兆円のアメリカ式は少なくとも今のところ期待されていたほどの効果はなかったと言える。その様子を見て溜飲が下がった人も多いだろう。やっぱり口先だけで400兆円分集めたんだから、400兆円分のツケを負ったと考えるのが筋じゃないか。

れでもどちらが正しいかというのは誰にもわからない。膿を出し切れるならば、潔く一から出直したほうが社会の空気もよくなるだろう。どれだけ金融緩和を行っても膿が出し切れないとするならば日本が正解だったと言えるかもしれない。なんにせよ経済学に興味のある人にとっては、実はいま大変興味深い局面の真っ只中にある。

QE1
総額:1.75兆ドル
期間:2009年3月~2010年3月
買取対象:住宅ローン担保証券、政府機関債

QE2
総額:8500~9000億ドル
期間:2010年11月~2011年6月
買取対象:米国債

プロフィール

じょなさん

Author:じょなさん
元バックパッカーの引きこもり、世界に飛び出す引きこもり。当初は役立つ情報を、と思っていたんだけど自分の興味しか書けないね。

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