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SF世界の中華料理店にみる資本主義の限界

バトーさん攻殻機動隊 #14 全自動資本主義より

この街を、一匹の亡霊が徘徊している。――資本主義という名の亡霊が。


一昔前のSFでは、未来に生きる人々の生活水準はみんな一様に向上している。しかし最近のSFは現実的で、どんなにテクノロジーが進化していても人々は汚い食堂でラーメンを食べている。

科学技術が進歩すれば、人の仕事は何でもロボット、コンピューターに置き換えられて市民は賃労働から解放される。つまり、働かずして娯楽に興じることが出来るはずだった。これが理想としていた未来だが、そんな夢のような暮らしを経験した人々は後にも先にもローマ人だけだった。

実際には、せいぜいラーメンという娯楽が保証されれば、それ以上賃金は上がらなくなる。この問題にいち早く気がついたのはマルクスだ。資本主義は物を効率的に生産するが、物が余りだしたときに生み出した富を効率的に分配することが出来ない。

資本主義において、市場が飽和するまでは雇用はどんどん生まれて、旺盛な消費が経済を支える。しかし一度市場が飽和すると、企業は常に労働者をロボット、コンピューターに置き換えようとする。市民が賃労働から解放された結果は、消費の伸び悩みだ。

これがデフレの正体であり、この亡霊を打破するためには三つの道しかない。

1) 新しい市場を作る。
2) 大きな政府でもって分配する。
3) 原油価格が高騰し、安い仕事がすぐに見つかるようになる。

1)は規制緩和だとか金融商品、CO2排出権取引。あとはK-popやアニメなどサブカルチャーにおける商業色が濃くなる。これは既に行われていて、なお最終的な解決策にはならない。3)は科学技術は人を幸せにしないという、人類の歴史の否定。

2)がなぜ難しいかというと、自由主義思想の否定になるからだろう。言ってることは簡単で、「誰が被災するかなんて分からない。だから誰かが被災したときは助けてやり、自分が被災したときは手を差し伸べてもらおう」という合意。四十年前にロールズが提案した「無知のヴェール」の考え方。あとは手を差し伸べる範囲をどこまで広げるかという問題だ。

1、2、3のどれも結局はどれも今までの資本主義を否定することになる。社会主義、資本主義の両極端が否定され、残るは弁証法的な合意形成という中庸の道。

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Author:じょなさん
元バックパッカーの引きこもり、世界に飛び出す引きこもり。当初は役立つ情報を、と思っていたんだけど自分の興味しか書けないね。

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