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韓国の反日ブーメラン

2016年1月9日にニューヨーク・タイムズ(The New York Times)に寄稿されたコラム、"Seoul’s Colonial Boomerang"の翻訳記事です。

韓国の反日ブーメラン
12月28日。韓国と日本の両国の外相は議論となっていた問題、すなわち旧日本軍によって1930年代の初めから第二次大戦の終結まで行われていた韓国人女性のセクシャル・エンスレイブメント(性奴隷化)に関して、「最終的かつ、不可逆的」に解決したと発表した。同時に両政府は二度とこの問題を持ち出さないことを確認した。

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外国のメディアはこの合意を好意的に受け止め、また一部少数の韓国人もこの合意を受け入れた。しかし韓国国内では政治的立場を越えてこの合意に対する激しい反発が巻き起こった。最大野党である「共に民主党」は国民に合意を押し付けるものだとして、「パク・クネ大統領の独りよがりな歴史認識」を糾弾した。生存慰安婦の一人は左派系の報道機関、オーマイ・ニュースにて以下のように率直な意見を述べている。「日本協力者の娘、パク・クネを大統領から降ろす必要がある」。普段はパク・クネ政権に好意的な保守系の新聞にも、安倍晋三の謝罪には誠意が感じられないと不満を漏らすものがあった。日本大使館前では抗議運動が続けられた。

この合意に対する右派、左派の双方の反応は植民地時代の歴史がいかに韓国の政治に影響を与えているかを如実に物語っている。これまで韓国の政治家と各種政治団体は、ただ自らの主義主張を広めるためだけに国民の反日感情を煽ってきた。過去への執着が国の足を引っ張ることに関しては全く注意を払ってこなかったように見受けられる。

いまや韓国は経済大国となったが、戦後の多くの期間は貧困と独裁に支配されていた。その中で韓国は北朝鮮やアメリカ、日本といった外的要因を国内問題の遠因であるとしてたびたび非難してきた。しかしながら韓国国民の北朝鮮に対する感情やアメリカに対する気持ちは複雑なものである。それに比べると反日感情は概ね全ての国民に共有されているものであり、そのために建国神話として日本との関係が語られてきた。すなわち韓国の栄光は、道徳的にも文化的にも劣った国である日本によって抑圧されたのだという意識が国民に共有された。

韓国人と話をしてみれば、彼らがいまだに日本の占領軍と戦っていることに気がつくだろう。小学校から彼らは日本を嫌うように教育される。特に、ある一定の年代に属する多くの韓国人は日本に対して侮蔑的な言葉を使っている。1993年に出版された「日本は何も得なかった」、2008年に日本語から翻訳された『「日本は先進国」のウソ』は大衆に迎合しベストセラーとなった。2015年の調査では72パーセントの韓国人が日本に対して好ましくない印象を持っていると答えている。

この韓国国民の反日感情は左派勢力にとって、人々に右派に対する不信感を植えつけるための材料となっている。戦時における日本協力者の多くは独立後に親アメリカの資本主義者、反社会主義者となり、政治の世界では保守派として活発に活動した。このことは保守派や資本主義エリートが生物学的にも思想的にも日本協力者の子孫であると、おそらく正当に、非難することを容易にしている。

征服者である日本が韓国人に日本人の名前を使うことを強要していた時代、パク・クネの父親であり旧日本軍に仕官していたパク・チョンヒはより日本人らしく聞こえるようにという理由から二回も改名をしていると報じられている。セヌリ党の現党首であるキム・ムソンの父親は、戦時中韓国人に日本の軍事機関に対して寄付をするように呼びかけていたと伝えられている。

同様に右派も国民の反日感情を食い物にしてきた。支持率の低迷に苦しんだイ・ミョンバク前大統領は2011年の訪日の最中、突然に慰安婦の問題を持ちだし、また2012年には韓国と日本の双方が領有を主張している島、ドクトを訪れた。

12月28日の合意にこぎつけたとは言っても、パク・クネも反日感情への迎合と無関係であるとは到底言えない。パク政権の法相は、慰安婦問題に関する韓国での主流の見解に反する意見を述べた本を出版した学者を名誉棄損で起訴している。この著作の内容には確かに問題はあるかもしれないが、政府のメッセージははっきりしていた。すなわち、何人もナショナリストの根拠を否定することは許さないし、パク・クネは親日派ではないというメッセージである。

これらの誰が如何に反日でいられるかというゲームは私たちの政治を破綻させている。日本の政治家が歴史的事実に疑問を投げかけることで韓国を挑発することは問題だが、一方でこれらの挑発が韓国の政治家たちにもっと大事な問題から注意を逸らさせるための便利な口実を与えてもいる。

2014年、野党はパク・クネの擁立した首相候補者を潰した。この候補者は過去に、韓国の植民地支配は「神の意志である」と発言し、さらには1965年の二国間条約を根拠に日本は慰安婦に賠償する義務はない、と発言しており、それが問題視された。結局この候補者は後に立候補を取り消したが、政権側はその後も15か月をかけて件の候補者が親日派であるという疑惑を払拭するために調査を続けたが、結果はせいぜい彼の祖父が韓国独立のために戦っていたことを証明するのみにとどまった。

2012年の総選挙でもまた候補者と日本との関係が焦点となり、結果として政策が等閑にされた。このときの与党の候補者は数年前に書面にて、植民地時代の韓国人は「大日本帝国を彼らの祖国と考えていた節がある」と書いていたことがあり問題視された。一方で野党の候補者は、彼が日本協力者の孫であるという点から、彼の立候補がふさわしいものであるかどうかが問われた。この好ましからざる流れをみるに、4月の総選挙ではさらに残念な事態が予想される。

韓国人の反日感情は安全保障にも勝っている。北朝鮮の核開発問題が大きな脅威となりつつあるにもかかわらず、2012年に韓国と日本は日韓秘密情報保護協定の締結に失敗している。この時イ・ミョンバク政権は締結の約束を直前になって反故にしている。2014年に両国は北朝鮮の軍備に関して情報を共有する約束を交わしたが、アメリカを間に挟むことが条件とされた。昨年の7月、韓国は軍事的な情報協定を日本と公式に結ぶことはないと宣言している。

その他の国内の問題は争点から外されている。政権と野党は日本の懸案である大使館前の慰安婦像の「解決」が具体的に何を意味するのかで議論を戦わせている。韓国メディアは、1月18日の質疑の中での安倍首相の植民地時代の慰安婦の募集に強制性はなかったとの発言を攻撃している。1月25日には2人の生存慰安婦が東京へ飛び、合意の撤回を訴え激しく非難した。

たしかに植民地統治による被害者は今後も彼らの主張を強調していくべきであるし、日本はもっと誠意のある謝罪を行うように心がけるべきである。当時の制度が人道に対する重大な罪を犯していたことは事実であり、それを裏付ける証拠も十分に存在している。しかし韓国では、数十年にわたる一部のエリートによる支配と、加えて彼らが揃って日本を指さしていたことによって、大衆の反日感情は暴走し、もはやコントロールを失ってしまっている。韓国はいま終わりの見えない興奮状態にある。指導者たちはなによりもまず彼らの反日感情を満たすことを優先しているように思われる。あらゆる憎しみはほかならぬ韓国を傷つけるブーメランとなるだろう。
By SE-WOONG KOOFEB. 9, 2016

翻訳元: http://www.nytimes.com/2016/02/10/opinion/seouls-colonial-boomerang.html

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Author:じょなさん
元バックパッカーの引きこもり、世界に飛び出す引きこもり。当初は役立つ情報を、と思っていたんだけど自分の興味しか書けないね。

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